au 2011年秋冬モデルで何が変わったか?
auでは今年の秋冬モデルから新仕様の端末F001が発売された。新仕様の端末は従来の端末とは異なり、IPアドレス帯域が新仕様端末専用の帯域に変更された。
新仕様についてはauの技術サイトEZFactoryにも掲載されているけど圧倒的に情報量が少ない。掲載されている情報が全部とも思えないので、実機を使って実際の仕様を調べてみた。
新端末・旧端末との主な相違点
EZFactoryに記載されている変更点と、実機調査で判明した変更点は以下の通り(リスト中の*印はEZFactory掲載情報)。
- IPアドレス帯域が従来端末と異なる(*)
- リクエストヘッダの一部が送信されなくなったり、内容が変更されている
- UTF-8ページでフォームからGET送信するときの挙動が異なる
- セッションCookieに対応している(*)
- HDMLに非対応(*)
- エラーページの内容がブラウザに表示される
- メッセージダイアログが自動的に消える
上記のうち、1~3の変更は既存サイトに影響を与える可能性あり。アプリケーションの修正が必要となる場合があるので要チェックだ。
ちなみに今回の新端末では、HTMLタグやブラウザのレンダリングに関しての変更はなさそうだ。以下のように旧端末と仕様は同じになっている。
- iモード絵文字やistyle属性が使える
- EZGET、著作権保護の仕様は従来通り
- floatに対応していない
- ブラウザはQVGAベース
EZサーバーの変換機能がなくなるとのことで実は一番心配していたことなのだが、デザイン面に関してはほぼ互換性が保たれている。
既存サイトに影響がある3つの変更点
1.IPアドレス帯域の変更
新端末がブラウザでアクセスする際のIPアドレス帯域が従来とは異なる帯域に変更されている。おそらくこれはEZゲートウェイでの変換が不要なパケットを従来端末とは別経路でルーティングしているためと思われる。ファイヤウォールやApacheでIPアドレスによるアクセス制限を行っているサイトでは、従来の帯域だけではなく、新端末の帯域からのアクセスも許可する必要がある。
新端末のIPアドレス帯域は以下の通り(2011年12月9日現在)。
- 111.107.116.0/26
- 111.107.116.64/26
- 111.107.116.192/28
※最新のIPアドレス帯域はこちら。
ちなみに、当初はPCブラウザとezwebブラウザで同じIPアドレス帯域を使うという仕様だったが、PCブラウザからの不正リクエストができてしまうというセキュリティ上の問題が発覚(KDDIの新GWで「かんたんログイン」なりすましの危険性あり直ちに対策された)。そのため、新端末のPCブラウザでアクセスしたときのIPアドレス帯域が従来端末のPCブラウザでアクセスしたときのIPアドレス帯域となるように変更された。au側が対応してくれたので新端末の最大の懸念は解消!
2.一部のリクエストヘッダが利用不能に
「x-up-」から始まるau独自ヘッダは、x-up-devcap-max-pdu、x-up-devcap-multimedia、x-up-subno、x-up-devcap-zoneの4つに減っている。
以下のヘッダは新機種では送信されないので、これらのリクエストヘッダをアプリケーションサイドで使用している場合には対応が必要となる。
- x-up-devcap-cc
- x-up-devcap-selectednetwork
- x-up-devcap-devicepixels
- x-up-devcap-iscolor
- x-up-devcap-qvga
- x-up-devcap-numsoftkeys
- x-up-devcap-screenchars
- x-up-devcap-screendepth
- x-up-devcap-screenpixels
- x-up-devcap-softkeysize
- x-up-devcap-titlebar
- x-up-devcap-kz
3.フォーム送信時のキャラクタエンコーディングが変更
エンコーディングがUTF-8のHTMLでフォームのGET送信をすると、従来機種ではパラメータがShift_JISで送信される問題があった(auブラウザ、いまだにUTF-8が使えず!)。これが新端末では解決されているので、従来端末とは挙動が変化する。
該当するフォームを使っているサイトでは、formタグに accept-charset="Shift_JIS" 属性を入れることで、キャラクタエンコーディングをShift_JISに統一する変更が必要だ。
2011年秋冬モデルの新機能
1.セッションCookieに対応
新端末ではセッションCookieに完全対応した。従来の端末だと、Cookieの有効期限を指定しない場合(セッションCookieの場合)は有効期限が1日になってしまい、ブラウザを終了した後もCookieが残った状態になっていた。新端末ではセッションCookieが発行された後にブラウザを終了するとCookieが削除される。
やっと標準仕様に則ったCookie対応端末になった!
2.エラーページの内容表示
サーバーがステータスコード404や500でエラーページをレスポンスした場合、エラーページの内容がブラウザに表示されるようになった。従来の端末では、「このページは見つかりませんでした(404)」のようなダイアログが出ておしまいだけど、新端末ではレスポンスされたページが表示される。
3.ダイアログが自動的に閉じる
従来の端末ではSSLページからHTTPページへ遷移する際、「これ以降のページはセキュリティが確保されていません」のようなダイアログが表示されていたが、新端末ではダイアログが一瞬だけ表示され、その後すぐに消えるようになった。目がチカチカするけどOKボタンを選択する必要がなくなったので、ユーザビリティはちょっと良くなったかも。
最後に
今回の新端末向け仕様では、セッションCookieやフォーム送信時のキャラクタエンコーディングなどが標準仕様に準拠するようになったけど、floatが使えないといったau独特のクセは相変わらず残っている。
今やスマホに方向転換したau。今回の仕様変更が最後になってしまうかも?
(参考)
- EZFactory(www.au.kddi.com)
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