スマートフォンとラウンドアバウト ④スマートフォンの課題

タップ・フリック・ピンチアウト&イン…その操作名は覚えていなくとも、iPhoneが実現しているマルチタッチ・インターフェースは真に画期的で、誰でもすぐに操作を覚えてしまう優れものです。ユーザーは小さな画面に映るPC用のWebを、伸ばしたり縮めたり、追い払ったり引き寄せたり…優雅なモバイル生活を満喫できるようになりました。

■(左から)iPhoneでのページ全体、部分拡大、Flashは見えない(上部の青い点の空白部)

ところが、いくつか都合の悪いことも見えてきました。第一に、如何に優れたインターフェースがあっても、3.5インチのディスプレイでは、PCサイズのサイトはあまり見易くはないということ。第二は、Flashがサポートされないことです。

 1.ページ全体の閲覧では文字が小さすぎ、拡大すると全体像が見えない
2.転送量が多いので1ページが出るまでの時間が遅い
3.Flashエリアが空白になり、Flashでのサービスが受けられない

これらの問題はサイト運営側にとって頭の痛い問題です。操作性の問題は、閲覧ユーザの増加に比べて、登録したり購入するユーザが少ないことに現れるでしょう。そして、サイトの情報量は日に日に増えていき、画像は綺麗に(そして重く)なっています。FlashはFlashムービーだけでなく動画やフォーム入力、そしてバナーなどの広告にも多用されています。つまり、事実上、スマートフォンに合わせてPCサイトを改修することは考えられません

一方、従来型の携帯サイトは、小さく、軽いのが特徴です。僅か10文字程度横幅で見えるように調整され、パケット量まで計算しているサイトがあるくらいです。ただし、スマートフォンで見るには、あまりに貧弱であり、携帯機種依存を解決するRichな表現として定着しているFlashLiteも使えないので、PCサイトに慣れているスマートフォンユーザーを惹きつけることは至難の業です

そうなると、解決策はWeb標準のHTMLを使って、PCサイトのように情報が豊富にあり、スマートフォンサイズに最適化された綺麗なサイトをつくるべきだというのが、唯一の妥当な結論となります。

ただし、ここにも1つ問題があります。流行っているとはいえ、スマートフォンのシェアは去年末で僅か4%であり、この先増え続けるとしても20%に達するのはいつか…誰にも分かりません。つまり、PC/ケータイ/スマートフォンという3つもサイトを開発・運営する経済的合理性は、なかなか見つからないのです

これこそ、ラウンドアバウトが、今非常に注目され始めた背景なのです。

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