自然体PMのススメ:進捗管理(1/n)最終日を守る。予定は次善策。

システム開発プロジェクトはどの会社でも苦労しているようです。色々な管理方法が考案されていますが、なかなかこれという方法が無いのではないでしょうか?提唱される方法に共通する問題点は、正論だけど現実的ではないことを条件や目標としている(適切なスキルメンバーを集める、要件定義を明確にし変更を抑える、顧客を巻き込む、などなど)からではないでしょうか?

正論の前に反論はしにくこともあって、現実を前にして大きな苦労をしがちです。ここではシンメトリックで行われている、SYMPLEで適用しやすいプロジェクト管理方法を紹介します。その極意は自然体であり、無理な設定・過剰な期待・誇大な不安・曖昧な決定といった無茶で現実に則さない仮定を排除することで、ストレスなくプロジェクトを成功に導くことができます。

最初に取り上げるのは進捗管理です。特徴は、現実的で当たり前のことを実行することでうまく行く方法であり、程度の差こそあれ真面目な人であれば概ねうまく行く方法です。ただ、当たり前とはいえ、考え方や方法については今までとは違うアプローチを取る必要があります。そこを説明していきたいと考えています。

 

カットオーバー日と契約最終日を守ること

進捗管理の目的は1つ(時に2つ)です。それは、カットオーバー日を守ることであり、顧客及び開発会社にとってこれがプロジェクト成功の最重要基準です。どんな理由があってもカットオーバーしない限り開発会社は検収してもらえません。もう1つカットオーバー後の仕事(初期運用やドキュメントなど)がある場合には、もう1つ契約最終日も開発会社そして開発者にとっては同じくらい重要です。顧客によってはカットオーバー後である最終日にそれほどこだわらない会社もありますが、開発会社としてはこれは営業上及び精神上よろしくありません。2つが守られれば顧客も満足ですし、開発者も成功を実感ことができます。

目的は単純であり、そのための方法はなんでも良いはずですが、進捗管理はその唯一の目的から離れて、スケジュール表を作ること自体が目的に陥りやすいので注意が必要です。スケジュール上オンスケで進んでいるように見えても、開発者が終わりそうもないと感じているプロジェクトは大概失敗します。最後が合えば良いからといって管理を怠ったり、事実を隠蔽したりすることは最悪です。また進捗は常にビジュアルに見える必要があり、常に正しい事実を見えることによって安心し、これが成功に繋がるようにしなくてはいけません。

 

スケジュールは守るものではなく、スピードを保つ為の次善策

スケジュールに従った方が多少の無駄があっても全体効率としてはよい場合もあるし、もっと他にすべきことが出てきて予定を変えるべき時もあります。実際のプロジェクトではあらゆる局面で、予定と実行の狭間で悩みます。予定を変更すべきか?そのまま行くべきか?予定の変更はそれ自体が作業の発生を引き起こしもします。

ここでは2つの考え方をしましょう。1つは、スケジュール表通りに実行しなければならないというルールはありません。スケジュールはその場でいちいちやることを考えていれば無駄を生みやすいために立てるものです。実行中に、よりよい方策が発見されれば、計画とは違う行動を取るのは正しいことです。2つ目は、その判断基準はスピードであり、今していることに改善の余地があると分かっていても正しい方法を見つけるために多大な時間を消費するのであれば、変更すべきではありません。

スケジュールとはスピードを保つ為に用意された次善の策であると考えるのがよいでしょう。予定に勝るスピードが出せるならば最善策を行うべきです。当たり前ですが、カットオーバー日を守る一番良い方法はスピードを上げることですから。

 olive_thumb1

次回の予定

システム開発はいつのまにやら荒唐無稽な進捗状況に陥りがちです。最初からキツキツだったり、やることがなかったり、始まっているのにスケジュールが無かったり、オンスケのプロジェクトが1週間経ったら2週間の遅れに変わっていた。なんてこともあります。そんな進捗管理の「魔」について書きたいと思います。

Page Top