自然体PMのススメ:進捗管理(6/n)Excel。A4で印刷できるように

ずっとBlogのことが気になっているうちに2年以上の月日が経ってしまいましたが、なんと、続きです。これまでの「自然体PMのススメ:進捗管理」の記事は以下。

進捗管理ツールはExcel。ただし、A4に印刷できること

進捗管理に使うツールは、誰でも使えること、どこでも使えること、そう考えればExcelが一番です。しかし、Excelでは複雑な表を管理することはできません(もしくは、複雑怪奇なマクロが必要です)。ここは、重要なポイントです。シンプル is ベストで、複雑なことをしないようにするため制約にもなります。

もう1つ重要な制約は、A4で印刷できることです。Excelの進捗表はA3xN枚みたいな、どうやって見ればいいのか困ってしまう表であることが多いです(時に蛇腹のように畳んであるものありますね)。これでは、進捗を把握することは困難です。進捗表は、進捗実績を把握するものです。物理的視覚的に見ることができないものは、使えません。

A4印刷するには、過ぎた過去と不確定な未来を載せない

一概にA4といっても、プロジェクトの規模や複雑度は大きく異なりますので、感覚的にはA4の紙1枚で10名くらいの規模までならなんとかいけると思います。30名なら3枚となりますが、重要なのは小さくする心掛けです。ではどのようにすれば小さくなるのか、その基本は2つあり、3/n及び4/nの事柄が大きく関係します。

3/nにある通り、不確かな未来は不要です。つまり、4月~8月のプロジェクトで、4月時点で4月は日々のWBSが書かれていてもよいですが、5月は週次で6,7,8月は月次レベルでOKです。そうなれば、横も縦も広がりません。未来に行くにつれて、日付の横軸もWBSの縦軸も少なくなるのが分かると思います。

また、4/nにある通り、過去のしなかったかことやできなかったことは、追いかけてはいけません。やらなかったこと、やり終わって別のWBSに移行したもの、全て不要です。当然、半月前のカレンダーも不要です。上記プロジェクトで、既に6月に入っていれば4月や5月半ばまでの予定・実績は載せる必要はありません。これで過去についても縦横共に小さくなるのが分かると思います。

ここで残った表は、進捗表ではありません。この意識は重要です。実績表であり、予定表であり、今と未来をミニマイズした信頼に足るリアルな表です。

ミニマイズした予定表に、真に重要な作業を載せるのがPMの仕事

多くの場合、このように余計なものを取り去った予定表を作り上げようとすれば、本当に必要で実行可能で重要な作業は何か、途方に暮れます。すべきことは多いはずですが、現時点での人・要件情報・機材・時間で最も優先順にが高く効率の良い作業は何か、これは進捗管理とは別に本質的に難しい問いなのです。そして、その問いに正面から取り組めることこそが、ミニマイズする大きな目的です。

遅れていても大きなスケジュール表があれば顧客に報告したり、表を管理するワークがあり、忙しいというフリができます。意図的ではないにせよ、PMとして忙しいフリをして本質的な問題に取り組んでいないことは、メンバーの信頼を無くし、結果的にプロジェクトをリスクにさらすことになります。そういったプロジェクトは非常に多いのは事実でしょう。

1/nや5/nでも触れていますが、プロジェクトは常に多くの制約のもとで遂行しなければならず、予定通りに事が運ぶことはありません。だから、そのことが問題なのではなく、今日の状況を正確に知り、明日の最善手を打てるかどうかが勝負です。つまり、直近の1週間での最善手は何かを考えだすのがPMの仕事であり、PMに必要な能力です。そして、結果的にミニマイズされた予定表を作り維持していければ、進捗管理は成功となるでしょう。

実例と次回(進捗管理最終回)の予告

実際にどういったExcel表になるか?という疑問は湧くと思います。今回は実際のプロジェクト管理に使った予定表を最後に添付します(リアル部分は伏せています)。これまで記述してきた内容がどのように実践されてきたかを知ることができると思います。

本当に使ったExcel

そして、次回は進捗管理の最終回です。それは、顧客対応です。如何なるプロジェクトも顧客への進捗報告を抜きにしては絵に描いた餅です。今回添付した内容の解説にもなりますので、こうご期待(今回はきっと待たせません)。

natu06

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